Wine @ 2024

冬の1月には気温高めが続き、もしかして溶けてしまうのでは?と思うぐらいでしたが、2月にはどさどさと降ってくれて例年並み、かつ近年では多めの積雪となりました。雪解けして畑に入れたのは4月の第1週のおわり。ちょうどよいぐらいでしょうか。

春は遅かったものの5月の初旬の気温が高く、芽出しと伸びは早め。ただ5月の後半からはカラッと涼しい北海道的な天気が続きました。花芽はしっかりありましたが、開花シーズンのお祈りは通じず、10日ほど雨が降ったりジメジメしたり。。ベト病が多発し、花穂もかなりやられてしまいました。

その後も曇りと思ったら小雨が続くという梅雨のような天気が頻発。実の方の病気は一部エリアではひどくなりましたが、全体でいうと1割減程度。8月末の台風は北海道には影響せず。9月序盤までは暑さが続きましたが、10日をすぎてストンと秋の空気になりました。数日に少しの雨はありましたが、低温でパリッとした晴れが多く、糖度の伸びは順調で酸もほどよくキープ。ベストといっていい天気が続き、収穫期も穏やかで良いぶどうが採れました。

ナイアガラが少なめ→早花咲月少なめ。ヴィニフェラの買いブドウは一番多いぐらいでした。雀色時も復活の予定。

※シリーズの説明は「銘柄について」を参照のこと。

2024早花咲月Rose

しっかり酸の残ったブドウで作った、お気軽なロゼスパークリング。醸造量が例年より少なめです。

ブドウ栽培: 余市町4箇所と仁木の実家から少し
ブドウ品種: ナイアガラ78%、キャンベル・アーリー22%
アルコール: 9.0%/発泡性
醸造本数: 約4,100本
リリース: 2025年3月
お取扱い上の注意: よく冷やしてから抜栓してください。

9月頭に余市ラフェトが終わったと思ったら農家さんから連絡があり、キャンベルの痛みが激しいのでもう持っていって良い?とのこと。2023年よりはマシでしたが、やはり暑い年ということで余市町のキャンベル・アーリーは晩腐病で壊滅状態。痛みが多かったため、醸造所の選果を厳し目にしてからタンクへ。

ナイアガラは酸がよく残り、糖度の上がりも順調。しかし sunny side farm さんのナイアガラが不作で、急遽他の場所からお願いしたりしてブドウの量を確保しました。最終的な量は少なかったものの、ブドウは非常に良い状態。糖度も上がりすぎずでちょうど良し。

例年通りとりあえずブドウをそのままタンクに放り込み、物理的な力はあまり加えない状態で置いておいて、時間ができた10月半ばにプレス。今年はいわゆる醸しは少なめです。

発酵が終わってから早めに11月10日ごろに補糖して瓶詰め。2ヶ月半ほど瓶内二次発酵させたのちに1月末ごろからデゴルジュマン(オリ抜き)。もちろんネックフリーザーなど専用の機械などはありませんので、逆さから横向きに持ち上げていき→良きタイミングで抜栓してオリを飛ばし→ピペットで量目を合わせる、というローテクな方法です。

キャンベルの比率が多くなりましたが、色としてはそれほど濃くはなく、鮮やかさのある赤色に仕上がりました。

キャンベルの濃い甘さのある木苺ジュース、アセロラといった赤い果実感が開き、ナイアガラの主張とともにコクや紅茶のような雰囲気もあります。酸はおだやかで、少しの渋さが締めくくります。

リリース直後は少し甘さが残っている場合がありますが、逆に甘さがあったほうがキュートさがあり、特に春先の季節には良いかなと思います。

長期熟成型のワインではありませんので、気が向いたら飲み時です。

ブドウの状態や量については想定より少し良くなかった点はありましたが、ブドウは良かったし、造りもおおよそ考えていたとおりにできたし、(2023年のオレンジみたいな難しい状態にはならなかったし、)個人的には満足のいくものになしました。

2024 Cam-Blanc

赤ブドウのキャンベル・アーリーから作った爽やかな酸の白仕込みスパークリングワイン。

ブドウ栽培: Sunny Side Farm100%(余市町登町小登地区)
ブドウ品種: キャンベル・アーリー
アルコール: 9%/発泡性
醸造本数: 約210本
リリース: 2025年3月、Sunny Side Farm(不定期営業)、近隣飲食店、自社イベント
お取扱い上の注意: オリを静置し、よく冷やしてから抜栓してください。

6月の高湿ですっかり病氣が回ってしまったのか、8月下旬に氣温がしっかり下がったにも関わらず、またも晩腐病が大発生しました。病氣がひどくなる前にと、いつもより2週間ほど早い、9月12日に選果しながら収穫してもらいました。

できるだけ潰さずに2週間ほどタンクで醸し、バスケットプレスでじっくりゆっくり搾汁しました。発酵は樹脂タンクにて行いました。
発酵が落ち着いたら、おり引きの後、11月中旬に砂糖を加えて瓶詰めし、瓶内二次発酵を行っています。
翌年2月中旬、デゴルジュマン(オリ抜き)を行いました。

醸し期間を経たため、山吹色に近い色合いです。
トップに揮発酸が来ますが、その後、レッドカーランツ、アセロラ、ラズベリーの香り、しっかりめの酸があります。
口に含むと酢酸エチルが若干感じられます。
暑くなってきてからの食前酒、風呂上がりの一杯、オイル系のパスタと一緒にどうぞ。

(りゅうこはる記)

2024小公子

仁木で栽培した小公子の色濃いワイン。今シーズンは少しだけ酒屋さんに買っていただきました。

ブドウ栽培: 仁木町
ブドウ品種: 小公子
アルコール: 12.0%
醸造本数: 約160本(販売したのは3ケースのみ)
リリース: 2024年12月

以前から小公子は仕込んでいましたが、量が少なかったため惇太郎の実家の委託醸造状態になっており、一般には流通させていませんでした。2024年も黒痘病などにより収量は多くなかったものの、家で飲むには少し多いよねということで少し販売することになりました(よいタイミングで来てくれた酒屋さんにお預けしました)。といっても3ケースしか無いので入手難易度は高いですが。。

醸造ではピジャージュは1回のみで全房の青さが出ないように早めにプレス。発酵が終わってから乳酸菌を添加し、暖房の前で乳酸発酵させてから瓶詰め。以前の小公子は酸が苦さとともに刺さる印象があったので、それを抑えてみるかということで乳酸菌を使ってみました。勉強としてもやってみたかった、というのもありますね。

結果としてタンニンの渋みや酸の角のない、非常に丸い口当たりのワインになりました。黒っぽい果実感もしっかりしており、ウチの他のワインには無いようなしっかりとした色濃さがあります。かといってしつこくはなく、サラリと飲めてしまう軽さもあります。

瓶詰め前に少し時間を空けてしまったため、液面に酸膜とよばれる白い膜が多少出ることがあります。飲んでも大丈夫なものではありますが、お早めにお召し上がりください。