銘柄について

Lan Seqqua ではいくつかの銘柄/シリーズでワインをリリースしています。

それぞれのワインについてはメニューのWine→年ごとのページから御覧ください。

KOYACHI(小谷地)

Lan Seqqua の自園、西向きの畑から収穫したブドウで作ったワイン(栽培・醸造ともに惇太郎が担当)。いわゆるドメーヌモノです。うちの目の前を流れている川が小谷地川といい、地区や道路の呼び名にもなっています。

西畑には赤ワイン品種のブドウのみを植えており、Pinot Noir が6割ほど、残りが Zweigelt。他にはシラーが1列、ガメイが4列ほど。基本的には単品種で仕込むことはせず、混ぜて1つのワインとします。そのスタイルから余市版パストゥグランといったりします。

良好な貴腐(ボトリチス)のついたブドウは収穫の際に分別し、Blanc de Noir ブラン・ド・ノワールとして別のワインとして仕込みます。

ワインのちゃんとしたリリースは2021年ヴィンテージより。(2020は試験的な本数のみ。)最終的には8,000本が目標です。

樹脂製タンクでの発酵を経てプレス後は基本的には樽で1年熟成してから瓶詰め、出庫するサイクル。例えば2021年のブドウは2023年の春にリリースします。

pon nitay(ポン・ニタイ)

(りゅうこはる記)

北海道の森の凛とした空氣をイメージして仕込んだ混醸の白ワインです。名前にはアイヌ語をお借りしました。大体の和訳はpon – 小さな、nitay – 森 です。

畑概要:
普段は「南畑」と呼ぶ、南に面した急勾配の30aほどの斜面に白ワイン品種を植えています。ピノグリ、ゲヴュルツトラミネール、ピノノワールをメインに、シルヴァネール、リースリング、ピノブランを少しずつ混植しています。(Pg:Gw:Pn:その他=6:6:2:1)

下草はオーチャードグラス、シバムギ、メシバ、クローバー、所々にヒメスイバやエノキグサ。周辺はオオヨモギ、クズ、春だけカタクリが顔を出します。

母岩のメインは所々鉄を含む黄色い砂岩で、紫色の入った堆積岩がちらほら見られます。層位は20〜70mmくらいが腐植層で、その下1,000mmほどははっきりした層が分かれないひっくり返った撹乱跡の褐色森林土(かつて斜面をならした跡でしょう。その下は未採掘)。

補植苗はイネ科草本との水分争奪戦ですが、ロータリーで耕耘後の新植苗は一年でトップ線を越える豊かな土壌です。

栽培:
ブドウがどうしてほしいか、畑をうろうろして観察し考えながら最小限の手助けを心がけます。

農薬は石灰硫黄合剤とボルドー液数種、赤の畑に準じます。肥料はなし。菌根菌や土壌微生物の働きを期待して、剪定枝で焼いた炭を株元に撒いています。

醸造:
ホールバンチだけでなく、スキンコンタクト、醸しも実施してみています。折角醸造量が少ないのでワイン最優先にしたいですが、収穫スケジュールと天氣とのせめぎあい次第です。(ゲヴュルツトラミネールは香りを出したいのでスキンコンタクト実施。)

発酵が落ち着いたらステンレスタンクや木樽で12ヶ月ほど熟成した後、瓶詰め、というスケジュールが基本です。どんなに頑張っても2,000本くらいの小ロットですので、基本は道内限定での販売とさせてください。

早花咲月(サハナサヅキ)

ナイアガラをベースに手軽さのあるスパークリングワイン。お気軽にお飲みください。

ブドウは余市町内の農家さんから。ナイアガラのほとんどは同じ登地区の sunny side farm より。少しの醸しを経てプレス、樹脂製タンクにて発酵。瓶内二次発酵でスパークリングとし、年によってはデゴルジュマン=オリ抜きで仕上げます。

2020,2021年は白とロゼの2種類を仕込んでいましたが、2022年ヴィンテージからはキャンベル・アーリーを混ぜたロゼのみでやっていきます。醸造本数はおおよそ4,000〜5,000本。

秋に収穫したブドウを醸造して、次の年の春にリリースします。

Soumagnon Blanc

同じ登地区にあるソウマファームで作られたソーヴィニョンブランのワイン、ということでソーマニヨンブランという名称のスティルワイン。量的な関係で少しだけセミヨンが入る年があります。

ブドウは熟度を求めて遅どり、醸造方面では果実感の厚みを引き出す工夫をしているワインです。醸造本数は300〜600本。これから増えていくかも?

また、余市町内の他2,3軒のワイナリーが同じ相馬さんのソーヴィニョンブランを仕込み、同じくソーマニヨンブランの名前でワインを造っています。生産者ちがいで比べてみるのも楽しいので是非。

樽で1年熟成してから瓶詰め、出庫するサイクル。余市町内にあるレストランヨイッチーニ、ヴィンヤードグランピングなどでも提供されています。

蛙鳴千草(アメイセンソウ)

四文字熟語「蛙鳴蝉噪」の後半2文字を置き換えた、四季折々を表す造語です。

2019年からのコロナでは何かとひっそりとなってしまいましたが、お酒の席ではつまらないことでも良いから楽しくワイワイガヤガヤ(蛙鳴)できたらいいな、という願いもこめています。

原料はソウマファームなどのワインブドウ農家さんからお預かりしたヴィニフェラ種(=ワイン専用種のブドウ)。醸造では余市のブドウの特性を探るべく、あまりない2品種を組み合わせてみたり、スキンコンタクトを長めにしてみたりなどトライアルしているシリーズです。

品種構成はワインによって異なり、1度に複数の蛙鳴千草を出す場合もあります。ラベル右下のヴィンテージとサブタイトル(Garoma Karoma とか Nagorino とか)で区別してください。2024/3月リリースの2022サブタイトル無し蛙鳴千草以降、ソウマファームのゲベルツ+ケルナー+セミヨンのものだけになる予定。

汎用ラベルを使用しているため、ワインごと詳細を知りたい方は当ホームページ上のワインごとサブタイトルごとの説明書きをご参照ください。

雀色時(すずめいろどき)

読み方が分かりづらいシリーズ第3弾。夕方を表す古い言葉です。

初出は2022ヴィンテージ、ソウマファームのメルローと自園のピノ・ノワールをあわせて作ったワイン。どちらも貴腐付き。赤ワインだから秋とか夕方をイメージして言葉をつけてみました。

買ブドウの赤があったらまたこの名前を付けることがあるかもしれません→2024にメルローが入ってきて復活。

十返りの花(とかえりのはな)

読み方が分かりづらいシリーズ第4弾。言葉の説明が難しいのですが。

昔の言葉で、トカエリバナとも言います。和歌にも出てくる言葉で、例えば1,384年に完成された新後拾遺和歌集では2回ほど使われています(←さっき調べた知識)。

1つ目の意味としては「松の花」。ここでいう松は北海道のエゾマツではなく、おそらく黒松のことのようです。

ただ、この黒松の花、松ぼっくりになる前の状態は非常に見ることがまれなもので、珍しいものだとされています。100年に1回しか咲かない(見れない)という大仰な意味もあります。

そしてその100年に1回のことが10回繰り返すというのが「十返り」。100年x10=千年=非常に長い期間という意味もあり、さらには長く続いた=喜ばしいというニュアンスもあって、お祝いの言葉としても使われるとか。

なんとも奥深い言葉ですね。

,,,でも松ボックリはたいていあるから、ちゃんと花も咲いているのでは?

ということで本州の植物にも詳しい親戚に「黒松の花ってそんなに咲かないんですか?」と聞いたら「そんなこと無い。毎年ちゃんと咲いているぞ?」とのこと。(栄養状態が良くないと咲かない、ということを書いているところもありましたが。)

おそらく花が小さく目立たないため、咲いたのを見た人、おそらく和歌集に載るぐらいの貴人=都会人が「なんて珍しいものを見られた!」とか騒いだのが語源かもしれません。

と、ここまでは前段というかただの調査結果で。

実は「おかえりなさい」の頭に”T”を付けるとトカエリになります。これ、おもしろい言葉じゃん、と単純に思ったからワインに付けてみた、という言葉だったのでした。

あとはケルナーのペトロール香が松脂とシンクロしてるかな?

シリーズ初出は2023ビンテージ。原料は買いブドウの貴腐がガッツリついたケルナーを主体としており、きれいな貴腐が付く余市エリアのケルナーをしっかり辛口まで持っていってボリュームを出したらどうなるかな?というテーマから始まったワイン。このワインに関しては甘口にはしたくないということもあって、ウチでは例外的に乾燥酵母を使っていく予定です。

もちろん貴腐は年によっては全然出ないこともあるし、昨今の温暖化を考えると貴腐は付きずらくなってきます。そのためケルナー主体というところは変わらないですが、年によってワインのスタイルは大きく変わるでしょう。

それこそ元の言葉通り、貴腐がしっかり付いたものが10回も仕込めたらラッキーなワインかもしれませんね。

Cam-Blanc

黒ブドウであるキャンベル・アーリーを白仕込みしたスパークリングワイン。このアイデアはドメーヌユイからいただきました。

※このワインは近い地域への販売、ふるさと納税への提供がほとんどです。

ブドウは同じ登地区にある sunny side farm より。地球にやさしい方法で畑に向き合っています。

キャンベルは本来赤ワインとなるブドウですが、色が出ないようにバスケットプレスで醸さずにダイレクトプレス。(といってもまだ試行段階で、オレンジやロゼっぽくなることも多いですが。。)樹脂製タンクでの発酵完了後に瓶詰め。瓶内二次発酵で泡をつけ、年によってデゴルジュマン=オリ抜きで仕上げます。

醸造本数は200〜500本ほど。秋に収穫したブドウを醸造して、次の年の春にリリースします。

その他

一般流通はしていませんが、2020年は山ブドウを仕込んだり、親戚の委託醸造で小公子を仕込んだりしています。小公子は量が増えてきたらラインナップにはいるかも?→2024年に少し販売。