Wine @ 2020

※シリーズの説明は「銘柄について」を参照のこと。

ワイナリー1年目の仕込み。縁があっていろいろなワインの仕込みができました。Noborico Nobori Rose の出来がお気に入り。

2020 Somagnon Blanc

オレンジ色の少し酸化的なニュアンスとともに、塩っぽさとボリュームのある独特なワインになりました。

葡萄品種: ソーヴィニョンブラン
アルコール: 12.5%
容量: 750ml
醸造本数: 約800本
備考: ふるさと納税、ヨイッチーニ、後志地方(余市・小樽・ニセコ)の酒販店限定にてリリース。抜栓後は酸化しやすい傾向があるため、お早めにお飲みください。

ブドウ

余市登神社を入ったところにあるソウマファーム(代表はヨイッチーニの相馬慎悟さん)のぶどう畑にて栽培されたソーヴィニョンブランを使用。栽培は慣行農法。収穫は余市でも最も遅いといって良いぐらいに遅い11月14〜18日。貴腐もかなり多く付いた状態でしたが、酢酸果の選果のみにて収穫。

醸造

樹脂製タンクにて全房で醸し、1ヶ月そのままでほぼ発酵完了した後にプレス。ステンレス樽、新樽、樹脂製タンクに分けて約10ヶ月熟成。発酵は野生酵母にて。亜硫酸は瓶詰め時に少量を添加。

ワイン

塩っぽさのある独特のミネラル感(?)があります。南半球のソーヴィニョンブランのようなキレのあるフレッシュさは少なく、白桃や栗の花、みかん、べっこうあめなどが感じられます。北海道のワインとしてはアルコールは高めで、ボリューム感も大き目。

料理は油の強めの中華料理や貝類のバター焼きなどが良いでしょうか。冷たくするより、少し高めの温度の方が性格がでやすく、料理とも合わせやすいかと思います。

その他

抜栓後は酸化的なニュアンスが出やすいワインです。涼しい場所での保管、抜栓後は早めの消費を推奨します。

醸造面でのチャレンジングな側面が強いワインです。白ワインのきれいでクリアでキレのある、といったところは追求せず、逆方向にある奇抜さや面白さに注力してみました。結果として少しオレンジ色が濃かったりしますが、全体としてはボリューム感もあり、独特な味わいになったかと思います。

本ワインの醸造は相馬さんからの提案により実現しました。実は同じぶどうでドメーヌタカヒコ、ドメーヌモンが同じくソーマニヨンブランという名前でワインを造っています。1つのブドウを違う3人が作ったらどうなるかという、いわば地域のトライアルです。相馬さんが経営している余市のレストラン、ヨイッチーニで3種のワインが提供される予定ですのでチェックしてみて下さい(2022年春ぐらいから?)。


2020 蛙鳴千草 Gewürztraminer
        (Amei Sensou Gewürztraminer)

(主に余市のレストラン、ヨイッチーニに卸したワインです。)

ゲベルツトラミネルの微発泡ワイン。陽気というより、静かな印象の強いワインになりました。

ブドウ品種: ゲヴェルツトラミネール
タイプ: スパークリング/白
アルコール: 12.5%
醸造本数: 約60本

※よく冷やしてから抜栓して下さい。

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ブドウ・醸造

余市登のソウマファーム*のぶどう畑にて栽培されたゲベルツトラミネールを使用。収穫は10月30日と遅め。醸しはせず、樹脂製タンクにて発酵、年明けの1月16日に瓶詰め。残糖によるアンセストラル式の発酵でスパークリングとして仕上がりました。亜硫酸は瓶詰め時に少量添加。

(*ソウマファームの代表は相馬慎悟さんで、ヨイッチーニも経営。)

ワイン

青草、パイナップル、白桃などの香りがありますが、香水のような強い香りは抑えめで、輪郭がハッキリした印象が強目。南国というよりは少し寒いエリアの雰囲気が強いワインです。

名前

四季折々であること、それからこんなご時世だからこそワイワイガヤガヤ(蛙鳴蝉噪)と楽しく飲めたらいいな、という願いを込めてこういった名前を付けました。

買いブドウのビニフェラの白については蛙鳴千草シリーズで続けていくと思います。


2020 Noborico Nobori Rose
        (ノボリコ・ノボリ・ロゼ)

(余市町のふるさと納税に出したワインです。)

甘い赤い香りのあるスパークリングのロゼ。序盤はキャンベルもしっかり主張してきますが、さらりと消えていく果実感。こってりした成分は少なめで、これもまた気温の上がってくる時期にどうぞ。

ブドウ品種: ナイアガラ+キャンベル約13%
Alc: 7.0%
容量: 750ml
備考: 発泡性あり
醸造本数: 約1,300本
リリース: 2021年3月初旬

※低温での保存、冷やしてからの抜栓をお願いします。

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ブドウ

下記 Noborico Nobori と同じブドウです。収穫は10月初旬。

醸造

コンセプトは「バランス重視の泡強めロゼ」。

醸造面としてはナイアガラ特有の派手な香りが前面に出過ぎないようにしつつ、キャンベルはしっかり抽出し、ブレンド比率で味わいを調整することにしました。

1次発酵は樹脂製タンクで野生酵母にて。ナイアガラはプレス前にタンク内にてスキンコンタクトを数日行ないました(オリ下げ酵素添加あり)。キャンベルは14日間抽出して小型のバスケットプレスで圧搾。発酵完了後にブレンド、補糖して瓶内二次発酵。ノンフィルター。亜硫酸は添加なし。

12月に瓶詰めした後は瓶を逆さに保存してオリを瓶口に集め、2月中旬にオリ抜き(デゴルジュマン)を行ないました。ネックフリーザーは使用していないので多少は濁り・オリがあります。

その他

長く置いておいて良くなるタイプのワインではありません。お早めにお飲み下さい。

「パリッとした泡」
「ほどよく、サラリとした甘いニュアンス」

余裕のある日のランチに冷製の肉料理などとどうでしょうか。ボリュームは小さめで、食卓の序盤に活躍するワインかと思います。


2020 早花咲月
        (サハナサズキ)

暑い季節にも飲めるぐらいのライトな白のスパークリングワイン。どっしりとした重厚感はなくてヒラヒラっとした薄さの、いわば花びらが飛んでいくような、サッパリしたスタイルの飲み物です。

「早花咲月」とは太陰暦の3月を表す言葉だそうです。早キ花ノ咲ク月。現在の太陽暦のもとでは3月下旬〜5月上旬に当たります。気温が上がっていく時期にスカッと飲んで美味しい飲み物、ということでこのような名前をつけました。

(読みづらい名前ですみません。個人的には漢字の並びの具合が気に入っています。)

ブドウ品種: ナイアガラ+ポートランド1〜2%
Alc: 7.5%
容量: 750ml
備考: 発泡性あり
醸造本数: 約2,500本
リリース: 2021年3月中旬

※低温での保存、冷やしてからの抜栓をお願いします。

早花咲月

ブドウ

原料のおおよそ半分は余市町登町の小登地区にある、SunnySideFarm の大倉さんが栽培したナイアガラ。栽培は有機同等で、硫黄と一部の区画のみボルドー液のみを使用。収穫は10月初旬。

残りの半分の原料は水田の沢という地区にある落合さんのナイアガラ+ポートランド。栽培は慣行農法。ブドウの行き先を相談されて引き受けたという経緯があり、収穫は遅めの10/23,24ごろ。

畑での選果もしっかり目に。前半の酸のあるブドウと、後半のしっかり熟した2種類のブドウが混ざることになりました。

醸造

コンセプトは「3月に飲みたい」。醸造面としてはナイアガラ特有の派手な香りが前面に出過ぎないようにしつつ、泡強めを目指しました。

1次発酵は15℃程度、樹脂製タンクで野生酵母にて。プレス前にタンク内にてスキンコンタクトを数日行ないました(オリ下げで酵素添加あり)。補糖して瓶内二次発酵。ノンフィルター。亜硫酸は添加なし。

12月に瓶詰めした後は瓶を逆さに保存してオリを瓶口に集め、2月中旬にオリ抜き(デゴルジュマン)を行ないました。その分、見た目がクリアで、オリのニュアンスも多少感じられるかもしれません。

その他

長く置いておいて良くなるタイプのワインではありません。今日は暑いナと思ったら飲むのが吉。風呂上がりも良し。

「“ふんわりとした”優しいオレンジ系の果実の広がりをイメージしますが、香りは青りんごやパイナップルのアタックにきて、口に含むと溌剌とした程よいガス感と共に、マンゴーや熟れた黄桃のような“ふくよか“な旨味が中盤に広がり、和みかんを中心とした酸味とアクセントとして感じるオレンジピールのような甘苦い余韻が全体の構成をまとめる。」

とのことでした。仙台の佐藤商店様のブログより抜粋。


2020 Noborico Nobori
        (ノボリコ・ノボリ)

ライトな白のスパークリングワインです。微発泡。アルコール度数が低いこともあり、ワインとしての厚みとかボリュームはちょっと物足りなく感じる方もいらっしゃるかもしれません。ちょっとした香りのある、気軽な飲み物としてお楽しみください。

ブドウ品種: ナイアガラ

Alc: 8%
容量: 750ml
備考: 発泡性あり(3-4気圧)
醸造本数: 約2,600本
リリース: 2020年12月初旬
参考小売価格: 1,800円

※濁り・オリがあります。冷やしてからの抜栓をお願いします。

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栽培

余市町登町の小登地区にある、SunnySideFarm の大倉さんが栽培したナイアガラ。畑は小登川という川の脇にある1haほどの河原土質の平地で、棚仕立てでの栽培です。栽培は有機同等で、硫黄と一部区画へのボルドー液のみを使用。うちの家内の笠小春も手伝いとして栽培に携わりました。

ブドウ

2020年はヴェレゾンまでは大きな天候不順や病虫害の大発生もなく、おおむね順調に推移しました。秋から収穫までの期間は太陽の出ないぐずついた天気が続き、果実の成熟という意味では難しい状態が続きました。収穫は少し早めでしたが、スパークリングに必要な酸がしっかりある状態でまとまってくれた、という印象です。

醸造

コンセプトは「お手軽お気軽」。醸造面としてはナイアガラ特有の派手な香りが前面に出過ぎないようにしつつ、酸と少しの苦さのある味になりました。全体としては軽い味わいで、食卓の序盤にとっつきやすい性格の味わいかと思います。

1次発酵は15℃程度、樹脂製タンクで野生酵母にて。プレス前にタンク内にてスキンコンタクトを数日行ないました。瓶内二次発酵前に乾燥酵母添加。オリ下げ剤としてプレス前に酵素を使用しています。ノンフィルター。亜硫酸は試験的なロットの分が極微量混ざっている程度に入っています。

長く置いておいて良くなるタイプのワインではありません。気が向いたときにサクッと飲むのが吉。

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その他

「ぶどう品種自体の香りが調度いいぐらいの感じにある。」
「個人的には抜栓2日目の方がナイアガラの香りが落ち着いて好みの味わい。」
「鍋食べたい。」
とのこと。

12月リリースの製品ではありますが、個人的には夏にグビグビやれるのが欲しくて作った飲み物です。