冬の雪がそこそこにあった割には雪解け期の温度が高く、早い春から始まりました。そのまま温度が高い状態が続いたものの、5月に低温で小休止。
しかしその後は本当に例年+4度ぐらいの気温がずっと。雨がふる頻度は低かったのですが、固めて多く降ることが多かったようです。
そして蒸し暑さ!温度が多少高くても乾燥していれば問題ないことも多いですが、とかく蒸し暑い!そのせいでべと病の発生は多め。お薬での対策も時期を逃したりしたのもあり、なかなか病気が止まらない状態が続きました。ブドウの樹も伸びたい放題で、途中で摘心を諦めたエリアも。
9月に入ったもののやはり温度は”高め”。そしてベレゾン後半の雨で玉割れも発生。比較的酸の残る品種でも痛みがひどく、酢酸が出てる房も目立ちました。
収穫は人手と時間をかけて行なうことになりました。幸いにもウチでは北海道全体で問題になった鳥による食害はほぼなし(2〜3%ぐらい?)。最終的な収穫量は赤4.2t、白1.4tとまずまずの量になりました。実を多めにつけていたこともあり、熟度としてはもう少し待ちたかったですが、病気と鳥のことを考えると悪くないタイミングだったのかもしれません。
買ブドウはラブルスカ(早花咲月)が多め、ヴィニフェラ種は鳥害により大幅減となりました。
※シリーズの説明は「銘柄について」を参照のこと。
2023 早花咲月ORANGE(オレンジ)
独特のトロリとした口当たりがあります(@2024/7月)。ロゼの予定でしたが、キャンベルの赤が出ず、サブタイトルが「オレンジ」となりました。抜栓時に少し吹きやすいです。
ブドウ栽培: 余市町2箇所より
ブドウ品種: ナイアガラ+キャンベル・アーリーが10%ほど+21メルローがほんの少し
アルコール: 7.5%/発泡性
醸造本数: 約7,200本
リリース: 2024年7月
お取扱い上の注意: よく冷やしてから抜栓してください。
ナイアガラはなかなか糖度が上がらず、農家さんに時期を引っ張ってもらったため、1ヶ月ほどの収穫期間が続きました。例年よりも糖度は低め。キャンベルは猛暑の影響で晩腐病が大発生。収穫量は大幅減となりました。色ものらなかったようです。
ぶどうにはタンクでプレスを待ってもらう期間が続き、醸し期間はこれまでよりも長め。樹脂製タンクでの発酵終了後にもタンクで待つ期間が多かったため、後述のような独特な感じになったのかなと思います。
補糖して瓶詰め。亜硫酸は無し。本来はデゴルジュマン(オリ抜き)する予定でしたが、いざ2月になって開けてみると液体にトロリとした粘性が! おそらく乳酸菌が先に動いてしまい、長めの糖鎖を生成してしまったのだと思います(※もちろん摂取しても大丈夫なモノではあります)。
時間が解決してくれるまで置いておくつもりでしたが、一部の酒屋さんから「味は良いから全然問題ないんじゃない?」とアドバイスをいただきました。そんなこともあり、楽しんでいただける方もいるかな?ということで現状のままリリースすることにしました。
味わいとしてはトロリとした食感(?)もありで独特の飲み口とともにそれに閉じ込められた泡がプチプチとあります。赤いキャンベル感は少なく、醸しナイアガラ感が強め。口当たりと相まってネクターや南国フルーツのような印象とナイアガラの華やかさが同居する不思議な感じです。
以下お手数ですが,,, 吹きこぼれやすいですので、
- 必ずよく冷やしてから+静置してからゆっくり抜栓して下さい。
- シンクもしくはボウルの中での抜栓を推奨。
- 五分五分くらいで吹く感じです。
- とろみがあって泡の上がりがゆっくりのため、開けてしまってすぐに一杯目を注いでしまう、というのも良いかもしれません。
また、液体に粘性があるため、オリがかたまり状態で浮いてくることがあります。飲んでも問題ありませんが、気になる方は除いてお召し上がり下さい。
正直なところ醸造の失敗な部分はありますが、逆に言うと造ろうと思って造れるワインではありませんし、面白ワインとしてでも、独特な感じを楽しんでいただけたら幸いです。
2023 早花咲月ロゼ(2023年12月リリース)
お気軽お手軽なロゼスパークリング。新酒造りということもあり、例年の3月リリース版よりも泡は弱めになっています。
ブドウ栽培: 余市町3箇所より
ブドウ品種: ナイアガラ+キャンベル・アーリーが10%ほど+ピノ・ノワールとポートランドがほんの少し
アルコール: 8.0%/微発泡性
醸造本数: 約2,600本
リリース: 2023年12月
お取扱い上の注意: よく冷やしてから抜栓してください。
例年は3月にまとまった量でリリースしている早花咲月ですが、2023年はナイアガラの量が多かったということもあり、一部を12月にリリースしました。
ブドウは余市町の3箇所の農家さんより。猛暑の影響などもあり、ナイアガラは熟しがなかなか進まず、キャンベルは病気が広まってしまったためかなり収穫がはやくなりました。全体的にもう少し充実感が欲しかったかなという印象。そういったこともあり、ランセッカ自園のピノ・ノワール(のハードプレスラン)を加えています。
数日のスキンコンタクトを経て水平機械式でプレス。数回の澱引、ブレンドの後に補糖・瓶詰めして瓶内二次発酵で泡を付けました。亜硫酸は無添加。
黒ブドウの比率が少なめということもあり色は前年のヴィンテージよりも透明感のある赤。アセロラやスイカといったみずみずしさのある果実感が感じられます。口中では赤っぽい風味とともに少しの苦味が後半を締めくくります。
リリース時点では少し甘さが残っていてる場合もございますが、クリスマスや年末年始といった場でゆるやかに楽しんでいただけたら幸いです。
2023 Cam blanc
赤ブドウのキャンベル・アーリーから作った爽やかな酸の白仕込みスパークリングワイン。
ブドウ栽培: Sunny Side Farm(余市町登町小登地区)
ブドウ品種: キャンベル・アーリー
アルコール: 8.5%/発泡性
醸造本数: 約220本
リリース: 近隣飲食店、自社でのイベント販売
お取扱い上の注意: オリを静置し、よく冷やしてから抜栓してください。
病気には比較的強いと言われるラブルスカですが、さすがの夏の蒸し暑さに負けて晩腐病が多発しました。選果しながらの収穫は時間と手間のかかる作業となりました。
9月下旬に収穫したブドウをできるだけ潰さずに1週間ほどタンクで醸し、バスケットプレスでじっくりゆっくり搾汁しました。発酵は樹脂タンクにて行いました。
発酵が落ち着いたら、11月中旬に砂糖を加えて瓶詰めし、瓶内二次発酵を行っています。
翌年2月下旬、デゴルジュマン(オリ抜き)を行いました。
醸し期間を経たため、山吹色に近い色合いです。
レッドカーランツ、アセロラ、ラズベリーの香り、しっかりめの酸があります。
口に含むと酢酸エチルも若干感じられます。
少し暑くなってからの食前酒、風呂上がりの一杯、オイル系のパスタと一緒にどうぞ。
(りゅうこはる記)
なごりの(2024.3月瓶詰め)
2023のオリ上と2024のハードプレスを集めて瓶詰めした残りモノワイン。
ブドウ栽培: 余市町
ブドウ品種: ランセッカで23,24に仕込んだヴィニフェラ種ほぼ全部
アルコール: 13.5%
醸造本数: 約130本
備考: 飲食店への販売、イベントでの販売など
前年は蛙鳴千草Nagorinoとしていたワインを新しいラベルにて独立させました。
作り方は変わらず、オリ上、ハードプレスを集め、上澄みだけを瓶詰めしたワイン。もったいないですからね。品種はピノ・ノワールからケルナー、セミヨンまで、どれが多いというわけではなく、どれも数%ずつ。
黒ブドウの色づきが浅かったこともあり、色合いは少し暗めのロゼになっています。味わいとしてはメルローの紅さとケルナーのアロマ、ソービニョンブランの青さなどが感じられます。アルコールは高めの13.5%で、口当りもボリューム感がしっかりしています。酸もしっかりあり、全体的に立体感があります。
トマト系パスタやニョッキなど炭水化物系にもよさそうです。ストライクゾーンは広めかなと思いますのでぜひ気軽なランチなどにどうぞ。
主に飲食店に出していますので、お見かけの際にはぜひ。イベントでの販売もするかも?